如月(7)
微笑みて 人違いとは ゆれる春
如月(6)
なにか喉 潜むがごとき 猫の恋
如月(5)
春めくや まなかいに 黄を集めけり
如月(4)
ゆくりなく 紅をさしたる 沈丁花
如月(3)
いっせいに 咲かぬ計らい 桃一輪
如月(2)
首筋に やわらかき風 梅傾く(かぶく)
如月(1)
梅の香を はなちそめたり 風に色
石手川
たまゆらの 水辺の春は生まれけり
石手川 桜並木
ひとひらの 涅槃寂静 花に雨
石手川 桜並木
春霖や 諸行無常を 薄めけり
久万高原
小春日や 闇の向こうに わらべ唄
久万高原
落ち葉とて 所在はここと 申しけり
久万高原
寒の水 岩肌しかと 重くせり
久万高原
冬ざれや 歳ふりてなお 見えしもの
緑陰
緑陰や 10年を軽々と 過ぎゆけり
湯築城址
もののふの 通いし道や 冬深む
石手川ダム
万緑や なみなみと夢 湛えたり
炎昼
炎昼の 街中を朱に 染めあげし
杖ノ淵公園
池の音の たおやかにして 春の暮