愛媛県展望/EHIME

西条市紹介

西条市紹介

西条市紹介

西条藩の成立

西条市は現在人口約11万で、愛媛県下では松山市、今治市、新居浜市に次いで4番目になります。

ところで、歴史的には比較的目立たぬ存在であった西条市が、かつてこの地を本拠とした戦国武将・金子元宅(もといえ)のおかげで、戦国史に名を残すことになりました。

もともと金子氏は、武蔵国入間郡金子氏の一族で、武功により鎌倉幕府より地頭に任ぜられてこの地に住みつき、以来300年以上にわたり西条の地を支配しました。

ところが戦国期の終わり、20倍もの軍勢で四国攻めを命じた秀吉に対し、ただひとり元宅は降伏を拒否、全軍玉砕という壮烈な死を遂げたのです。この壮絶な死闘は当時でも驚きをもって武将の間で評判となり、後世に語り継がれることになりました。

江戸時代に入り、寛永13年(1636年)には一柳直盛(戦国大名河野通直の庶流)が西条藩主に、また直盛の3男・一柳直頼が隣り合う小松藩主に封ぜられ、陣屋町が開かれました。

しかし3代目一柳直興のとき、幕府の不興を買って改易され、寛文10年(1670年)に、八代将軍徳川吉宗の叔父松平頼純を迎え、以後 紀州徳川家の支藩として幕末まで西条藩を治めました。

その後、明治維新までの約200年間にわたり、西条藩は松平三万石、隣接する小松藩は一柳一万石の陣屋町として栄えました。陣屋町とは3万石以下の城なし大名が居住、役所をかねた建物で、周囲に堀を巡らすことは出来ますが、石垣を築くことはできません。

両藩は徳川一門の親藩ではありましたが、幕末の戊辰戦争にあたり、徳川氏に見切りをつけ官軍として参戦し、命脈を保ちました。

明治以後は隣接する町、村が何度も合併を繰り返し、1941年(昭和16年)に市制施行し西條市となりました。

その後もさらに合併は続き、2004年(平成16年)には、小松町、東予市(壬生川町、三芳町の合併)、丹原町と西条市が合併し、現在の西条市となりました。

自噴水「うちぬき」

西条市は南には石鎚山、北には瀬戸内海の燧灘を望み、その間に四国一の耕地面積(県内の4分の1を占める)をもつ水田が広がっています。

このため、はだか麦やあたご柿は日本一の生産量を誇り、水稲、メロン、にんじん、ほうれん草、ねぎ、いちご、キャベツ、きゅうり、梅なども、県下有数の収穫量を誇っています。

また石鎚山のふもとに開けた地理的恩恵をうけ、全国的に稀な自噴水が広い範囲に湧き出しています。この水は水質のよさから、「名水百選」や国土交通省の「水の郷」にもしばしば選ばれ、市民からは「うちぬき」と呼ばれて、飲料水として利用されています。

さらに市内各所に、この上質の水を求めて、半導体メーカー・ルネサスエレクトロニクスやアサヒビール、日新製鋼、クラレなど大手の利水企業が進出しています。

お山開き

石鎚連峰は四国の中央を標高1700~2000mの山々が東西50キロにわたって延びています。最高峰の石鎚山は、奈良時代より山岳信仰に篤い修験道の山として知られ、役小角や空海もここで修行したと伝えられています。

また石鎚山は標高1982mと西日本最高峰で、日本百名山や日本七霊山の1つとなっています。毎年、7月1日から10日にかけ、西条市にある石鎚神社では「お山開き」の神事が執り行われ、西条市のビッグイベントとなっています。

石鎚神社は石鎚山を神体山とする神社で、山麓に鎮座する本社、山腹の成就社と土小屋遙拝殿、山頂の頂上社の4社からなります。

7月1日の早朝、石鎚神社本社に祀る「仁」「智」「勇」の3体の御神像を、信徒が背負って石鎚山頂まで駆け登り、10日間、頂上社へ御動座します。これに伴い、全国各地から毎年数万人の信者や登拝者が神事に参加し、石鎚山は大変な賑わいを示します。

かつては、お山開きの期間中、女性は入山できませんでしたが、現在では7月1日だけが禁制となっています。

山頂からは瀬戸内海および土佐湾を一望できますし、見通しのよい日には、大山始め中国山地、九州の九重連山まで遠望することができます。

西条祭り

お山開きとともに、西条市のビッグイベントとなっているのが、毎年10月におこなわれる西条祭りで、江戸時代から300年の長きにわたって受け継がれています。

祭りの間、150台を越える絢爛豪華なだんじり(屋台)・みこし・太鼓台が街中を練り歩きます。同時に太鼓や鉦の音、祭ばやしの声が町中に溢れ、活況を呈します。

また10月16日夕方の「川入り」では、80台余りのだんじりが神様の御神輿の渡御を見送ろうと加茂川の土手に整列します。その後祭の終わりを惜しみ、川の中でだんじりが御神輿を取り巻く様は迫力満点で、祭りのクライマックスといえます。

四国屈指の工業集積地

西条市の臨海部は四国中央市から松山市へと繋がっており、全体で中四国最大規模の工業地帯を形成しています。

なかでも西条市には、世界屈指の規模を誇る800トンクレーン3基がそびえる今治造船の最新鋭工場や、ルネサスの半導体工場、アサヒビール四国工場、日新製鋼、クラレ西条などをはじめとする大企業が250社、中小企業が2,500社、合計約2,750社の企業が立地しています。

このため、西条市全体の工業製造品等出荷額は8,450億円(2019年度工業統計調査)と四国のなかでもトップクラスであり、四国屈指の工業集積地となっています。

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