CHARACTER

日本人気質

日本列島という孤島で育まれた特異な日本人気質を採り上げてみます。

浪花節的世界

日本人について

日本人気質

浪花節的世界

哀惜の念とは去りゆくものへの深い愛情から、別れを惜しみ、悲しみにくれるというものである。 「杓子定規」より義理人情の「浪花節」を好む我が国では、死にゆく者に対しても独特の対応を示すようにみえる。 例えば災害で、目の前に死にかかったひとがいる...
日本人風雅考

もみじ葉は時雨(しぐれ)にせかされ、枝を離れるという。 “時雨”は初冬。 晴れていたかと思うと、いきなりサアーッと通り過ぎていく通り雨。 句を読むには、寒々として気が萎えそうだ。 ただ、時間の要素を入れ、“朝時雨”、“夕時雨”、“小夜時雨”...
日本人気質

禅の世界

われわれは家に入ると靴を脱ぐ。居間では坐るのが当たり前である。 心乱れたときに自らを落ち着かせるため坐禅を組むのも、坐る文化の延長線上にある。 欧米人が禅に対して抱く憧れは、坐禅という静謐な雰囲気と、神のいない世界にいて、ひらすら自分だけを...
日本人の宗教心

華厳世界

たとえばバチカンでサンピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂を見上げた時に感じるカトリック世界への畏怖と、東大寺大仏を見上げたときの仏教世界への畏怖は、設計を命じた者の意図が似ているだけに共通した感慨を覚える。 屈伏しないものを自分の世界に引き...
日本人の宗教心

絶対他力

我が国で浄土といえば、通常、阿弥陀仏の極楽浄土を意味している。 その極楽浄土に念仏を唱えることで往生できるという浄土信仰は、すでに飛鳥時代、インド中国を経て我が国に伝わり、浄土教として上級貴族の間に浸透していた。 平安中期(1052年ころ)...
日本人の宗教心

利他行

人にしてもらいたことを人にする。 そして相手を満足させられなければ、自分もまた満足できない。 これが仏教でいう利他行である。 “人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である” これは聖書マタイ伝...
日本人の宗教心

妙法蓮華経

法華経が大乗仏教の代表的経典として、紀元2~3世紀に登場したことは先に触れた。 法華経は妙法蓮華経の略で、妙法は真実の法の意である。 蓮華は蓮の花であり、泥の中から美しい花を咲かせる姿に、仏教者は己の生き方を感じ取ったのである。 泥は欲望や...
日本人の宗教心

仰いで天に恥じず

天は中国に源を発する。 ひとは天命に従わねばならず、これに逆らうとお天道さまが見ていて、天罰を下すという。 西郷の「敬天愛人」、漱石の「則天去私」もこれから来ている。 “孟子”に「仰いで天に愧(は)じず、俯して人に愧(は)じざるは、二の楽し...
日本人気質

華厳世界

たとえばバチカンでサンピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂を見上げた時に感じるカトリック世界への畏怖と、東大寺大仏を見上げたときの仏教世界への畏怖は、設計を命じた者の意図が似ているだけに共通した感慨を覚える。 屈伏しないものを自分の世界に引き...
日本人気質

絶対他力

極楽浄土 我が国で浄土といえば、通常、阿弥陀仏の極楽浄土を意味している。 その極楽浄土に念仏を唱えることで往生できるという浄土信仰は、すでに飛鳥時代、インド中国を経て我が国に伝わり、浄土教として上級貴族の間に浸透していた。 平安中期(1,0...
日本人気質

利他行

人にしてもらいたことを人にする。そして相手を満足させられなければ、自分もまた満足できない。これが仏教でいう利他行である。 人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。 これは聖書マタイ伝7章の...
日本人気質

妙法蓮華経

法華経が大乗仏教の代表的経典として、紀元2~3世紀に登場したことは先に触れた。 法華経は妙法蓮華経の略で、妙法は真実の法の意である。 蓮華は蓮の花であり、泥の中から美しい花を咲かせる姿に、仏教者は己の生き方を感じ取ったのである。 泥は欲望や...
日本人気質

オシム氏の日本人論

脳梗塞で倒れ、クロアチアで静養していたオシム氏が日本の思い出を語り、興味ある日本人論を述べている。 まずはその体力差についてである。 日本の選手は欧州の普通の選手ほど走らない。本当は自分が小さいのだから、もっと走らなければならないし、もっと...
日本人気質

自己防衛社会 ”惣”が育んだもの

もともと几帳面な民族などいるわけがない。集団のなかで、周りの目を気にしながら生きていくうちに醸成されていったものである。 子をもつ親がよく口にする「周りの人に迷惑をかけない人に育って欲しい」という願いは、日本人気質の一面をよく表している。 ...
日本人気質

玉虫色

灯明に離れてすわる 朧かな 俳人・斎藤梅子氏の名句だが、灯明から離れたところに漂うほのかな余情を朧と詠んだのである。 朧はぼんやりと霞んだ景色であり、うっとりした気分が漂う。 われわれ日本人は、ことのほかこのような風景を好むように思うが、考...
日本人気質

美的センス

かつて平安時代の代表文学『源氏物語』に流れる、しみじみと哀愁を湛えた情趣を、本居宣長は“もののあはれ”と呼んだ。不幸な終局を迎えるドラマを見終わったあとの「ああ」という嘆息である。 現在、われわれは“もののあはれ”を口にはしないが、この気分...
日本人気質

仰いで天に恥じず

孟子 天は中国に源を発する。 ひとは天命に従わねばならず、これに逆らうとお天道さまが見ていて、天罰を下すという。 西郷の「敬天愛人」、漱石の「則天去私」もこれから来ている。 “孟子”に「仰いで天に愧じず、俯して人に怍(は)じざるは、二の楽し...
医学史ひとこま

富山のシュバイツァー 萩野昇

昭和42年12月15日、参議院特別委員会の会場は熱気に包まれていた。 12年前、イタイイタイ病の鉱毒説を発表した萩野昇が、ついに国会において参考人として証言の場に立ったからだ。 萩野は静かに口を開いた。 「私は田舎の開業医ですが、ひとりの医...
興味深い日本人

勝海舟の見識

西郷、勝の見識に圧倒される 勝が西郷隆盛と初めて会ったのは元治元年(1864年)9月、大阪である。西郷は第1次長州征伐で幕府の消極的な戦闘準備を不満とし、軍艦奉行である勝の意見を求めに来た。 このとき勝は、今は自分の藩の利害などを考え内部抗...
幕末

松陰の死生観

「今急武備を修め、艦略具はり礟略足らば、則ち宜しく蝦夷を開拓して諸侯を封建し、間に乗じて加摸察加(カムチャッカ)・隩都加(オホーツク)を奪ひ、琉球に諭し、朝覲会同すること内諸侯と比しからめ朝鮮を責めて質を納れ貢を奉じ、古の盛時の如くにし、北...
幕末

勝海舟の見識

勝が西郷隆盛と初めて会ったのは元治元年(1864年)9月、大阪である。 西郷は第1次長州征伐で幕府の消極的な戦闘準備を不満とし、軍艦奉行である勝の意見を求めに来た。 このとき勝は、今は自分の藩の利害などを考え内部抗争しているときではない。 ...
医学史ひとこま

細菌学の普仏戦争

よきライバル、コッホとパスツール 1870年、フランスのナポレオン3世によるドイツ統一妨害工作をきっかけに普仏戦争が勃発。 鉄血宰相ビスマルクが牽引するドイツ連邦軍はフランス軍に圧勝し、翌年パリは陥落、ドイツ帝国が誕生しました。 ちょうど期...
興味深い日本人

竜馬と後藤象二郎

象二郎、竜馬と手を組む 慶応3年の土佐藩はとりわけ多忙である。 その年の1月、後藤象二郎が長崎にやって来たのを知った亀山社中の面々は、竜馬に土佐勤王党の仇敵である彼を斬ろうと気色ばんだ。 ところが実際竜馬が会ってみると、意外にも馬が合った。...
幕末

竜馬と象二郎

慶応3年の土佐藩はとりわけ多忙である。 その年の1月、後藤象二郎が長崎にやって来たのを知った亀山社中の面々は、竜馬に土佐勤王党の仇敵である彼を斬ろうと気色ばんだ。 ところが実際竜馬が会ってみると、意外にも馬が合った。 仇敵でありながら意気投...
興味深い日本人

そうせい侯 毛利敬親(たかちか)

戊午(ぼご)の密勅 米国との通商条約を朝廷の許可を得ずに結ぶとは何事かというのが水戸・尾張・越前藩主ら一橋派の抗議である。 安政5年4月、大老となった井伊直弼は、話しの内容はともかく彼らが許しも得ずに登城したのは不敬の至りであるとして、強引...
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