医学史ひとこま X線の発見 1894年(明治27年)といえば、日清戦争勃発の年であり、漱石や子規の時代である。そのころ、海を隔てたドイツのヴュルツブルク大学では、物理学教授レントゲンが、圧力による固体や液体の物性変化の研究に取り組んでいた。そして翌年の秋ごろから、彼は... 2012.11.22 医学史ひとこま
医学史ひとこま 「フォト51」の撮影者 ロザリンド・フランクリン ユダヤ人家系のロザリンド・フランクリンがケンブリッジ大学に学んだ当時は、大学側がやっとユダヤ人と女子学生の入学を認め始めた頃で、彼女にとって決して快適な環境にはなかった。しかしフランクリンは首席に次ぐ成績で卒業し、大学院で石炭の結晶構造の研... 2012.11.11 医学史ひとこま
平安時代 日本料理中興の祖・藤原山蔭の包丁式 平安の初期、料理通であった光孝天皇が四条中納言、藤原山蔭に命じて料理作法(庖丁式)の新式を定めた。当時、遣唐使を通じて唐の食習慣・調理法が日本にもたらされ、これが日本風に消化されたものを故実という形で藤原山蔭がまとめあげた。山蔭は初めて食物... 2012.09.12 平安時代
海外紀行 ウイーン紀行 30年ぶりにウイーンを訪れた。「ハプスブルグ」というスイスの一豪族が、600年以上もオーストリアを支配したという由緒ある地である。ウイーンに中世の大都市をイメージして行くと、意外に狭いのに失望する。当時大都市といっても、人口は10万から15... 2012.09.03 海外紀行
海外紀行 アルプス最高峰 モンブラン紀行 モンブランの威容を期待してアルプスに出向くと、がっかりする。富士山より1,000mも高いというのに、山頂を描く稜線は大福もちのごとき山容である。かつてインド大陸が南極側から北上し、アジア大陸に衝突したショックでエベレスト山脈が出来上がったと... 2012.08.19 海外紀行
海外紀行 モンゴメリ街 ショウ写真館 秋のサンフランシスコは最高気温20度と過ごしやすく、繁華街をはずれると、妙にひなびた風情が心地よい。ゴールドラッシュによる外国人労働者が世界中から殺到したおかげで、このような庶民的町並みができあがったのだろう。在住する白人は50%を切り、ア... 2012.02.23 海外紀行
四季雑感 有馬温泉 周囲の人間が有馬はよかったと口を揃えて言うものだから、お遅ればせながら出かけることにした。どこが気に入ったのかと問うと、温泉以外何もないのがいいという。住民ぐるみで、ひなびた風情を温存しようとしているのが良いということらしい。神戸から車で1... 2011.08.28 四季雑感
海外紀行 トレドと石山本願寺 数年前、自宅近くの道後温泉に弥生時代の環濠集落がみつかった。集落は幅10メートルに及ぶ史上最大規模の環濠で囲われており、周辺に住む無頼の輩からしばしば略奪の被害にあっていたことが窺われる。昔からひたすら生産に専念するひとびとと、産物の略奪を... 2011.05.16 海外紀行
日本人の宗教心 阿修羅 ひとりで何人分もの働きをすることを、三面六臂とも八面六臂ともいう。「臂」とは手首から肘にいたる前腕の意で、3つの顔と6つの腕をもつ仏像から来ている。八面六臂像は現実には存在しないが、超人的な働きをするという意味からそう呼ばれるようになった。... 2011.04.10 日本人の宗教心
世界史ひとこま ノブレス・オブリージュ 釜石に友人がいる。今度の大地震のあとやっと電話が通じると、津波で自宅の診療所は壊滅したが、幸い命拾いしたよと明るく言う。釜石市は山に向かってゆるやかな斜面をなしていて、今回海に近い街の半分が消失したそうだ。彼の家もそこにあった。学生時代、仲... 2011.03.28 世界史ひとこま
世界史ひとこま 科学の父 ガリレオ 少年時代、寝転んで空を見上げていると、地球が回っているなどどうしても信じるわけにはいかなかった。同時に「それでも地球は回る」といい張ったガリレオという人をいぶかしく思った記憶がある。昭和46年、アポロ15号の月面活動が報じられるなか、スコッ... 2011.02.20 世界史ひとこま
海外紀行 フィレンツェ紀行 ミラノからユーロスターで2時間半、古都フィレンツェにつく。古都というからには、古いものを手つかずで置いておこうというのであるから、近代的なインフラ整備を期待してはならない。水道の水の出が悪いなどと苦情を言ってはいけないのである。それにしても... 2011.01.28 海外紀行
海外紀行 マインツ旅情 ドイツの空の玄関口は政治都市ベルリンではなく金融都市フランクフルトであり、ヒースロー(英)、シャルルドゴール(仏)と並び、ヨーロッパの代表的ハブ空港である。マインツはフランクフルトから車で1時間という利便性があるため、ただちにそちらへ向かう... 2011.01.10 海外紀行
世界史ひとこま ポルトガルとスペインの世界二分論 我が国が室町時代の後半にさしかかった頃、ヨーロッパではポルトガルとスペインが驚くべき相談をしていた。自分たちが住むヨーロッパはさておいて、あとの世界をこの二国だけで分けてしまおうというのである。その契機になったのは、1492年、スペイン国王... 2010.12.27 世界史ひとこま
日本人気質 武士道精神 幕末武士道と無私欧米に出かけた若者がもっともよくうける質問のひとつが、日本のサムライについてだそうである。どうもサムライや武士道は欧米人にとって東洋の魅惑のひとつであるらしい。欧米ばかりか我が国でも、若者たちが「サムライ」や「武士道」に魅力... 2010.12.11 日本人気質
興味深い外国人 ラファエル・ナダル ジャパン・オープン・テニスに世界チャンピオンのナダルが出場するというので、勇んで出かけた。前日の準決勝で、トロイツキ(セルビア)に何度かマッチポイントを握られながらもしぶとく切り抜け、わずか一度の逆転のチャンスをものにしたという。王者といわ... 2010.10.14 興味深い外国人
愛媛県展望 四国カルスト 松山を出発して南へ車で2時間半、四国山脈のただ中、地芳峠(1084m)にたどり着きます。これより東を五段高原、西を大野ヶ原と呼んでいます。そこから少しばかり、緩やかなスロープを標高1400mまで登りつめると、突如として視界が開け、四国カルス... 2010.09.24 愛媛県展望
日本人風雅考 秋色 9月も中旬というのに日中はなお30度を超えるという。この暑さに辟易していた仲間と示し合わせて、四国カルストへ出かけることにした。秋は「山粧う」といい、山へ足を踏み入れただけで野山は一斉に色づき、すでに秋色が深い。耳を澄ますと、蟋蟀(コオロギ... 2010.09.16 日本人風雅考
日本人気質 相対的無宗教 現在のわれわれは生きている間、宗教と深く関わることはほとんどない。自らの葬儀にあたり、戒名を得てはじめて仏門に入るという次第である。位牌・法事・先祖供養などは儒教からの借り物であるが、それにこだわるものもない。ほとんど無宗教といっていい。地... 2010.08.31 日本人気質
日本人風雅考 涼風(すずかぜ) 先週までの執拗な五月雨(さみだれ)と落雷の攻勢に、うんざりしたのも束の間、今朝、目覚めてみると街中は、まごうかたなき盛夏となり、突然訪れた白南風(しろはえ)の明るさに一瞬目がくらむ。この暑さには一日とて閉口しないものはないが、古人は暑さを避... 2010.07.20 日本人風雅考
四季雑感 ヒーローの条件 はやぶさの計画が順風満帆に終わったなら、世間はこれほど大騒ぎしなかったに違いない。なにしろ、幾多の危機を乗り越え、首の皮1枚つながった状態で、宇宙から帰還したのである。遠くへ旅に出た子が、艱難辛苦を経て無事帰宅を果たそうとしている。国民の多... 2010.06.17 四季雑感
海外紀行 モネの睡蓮 パリから北へ60キロ、ひたすら田園の中を進んだのち、川沿いの小さな村で車を降りると、そこがジヴェルニーだという。生垣で囲まれた家へ足を踏み入れると、モネが後半生を過ごした睡蓮と花の住処が現れた。といっても、庭造りの好きな老人の個人住居であっ... 2010.06.10 海外紀行
海外紀行 ジャコメッティ 先日私用でロンドンへ出かけた際、子供に付き合って、テートモダンへ出かけた。なんでも現代美術の宝庫だそうである。美術館といっても、もとは火力発電所だったというだけあって壮大かつ重厚だ。かねてから現代美術は、解説を聞かないと理解できないという苦... 2010.05.29 海外紀行
日本人風雅考 桜 “花便り”に耳を澄ませ、“花催い”に胸をときめかせて“花を待つ”日は長かったが、高知の“初桜”を皮切りに一斉に開花となった。それにしても“初花”と聞いた途端、“花冷え”となり、“花曇り”の日が続く。時にうっすらと“花の雨”が降りかかり、“桜... 2010.04.08 日本人風雅考
日本人気質 苦労人崇拝 学生達をみると、昔も今も、ガリ勉してないふりをしながら、陰でこっそり勉強するのが常である。できることなら、「努力しないのにできる奴」といわれたい。何といってもカッコいい。学生にとっては憧れである。ところでこの風潮、アメリカでも全く同じ。憧れ... 2010.02.12 日本人気質